2015年9月28日月曜日

俺氏、アートに目覚める その3

2015.09.28




僕は今日という日のために.日本からここまで長い道のりを来たと言えるでしょう!

いざゆかん! 最終目的地!? ルーブル!!


***


ルーブル美術館のシンボル,ピラミッド.
メッカが直方体の廟なら,こっちは三角錐ですか!
ここまで巡礼してきた甲斐がありましたね! 感動もひとしお!


・・・なんて言っている余裕はありません.
「ひたすら混む」という事前情報を元に開館時間より前に来ましたが,既に行列が.
8時半じゃちょっと遅かったかな.


開館は公式通り9時ちょうど.荷物検査のスピードで行列がはけていくので,特に長く待つことなく中には入れました.



さて,様々なウェブサイトの情報から,モナリザやミロのヴィーナスは大変混雑するので,ツアー客のいない朝一で見ておくべき.という事でした.中国の美術館みたいになると困るので,このプラクティスに従い僕も入場後直通でモナリザに向かいました.

チケットをカードで買うのに手間取ったり,途中道に迷ったりしつつも,9時半前にはモナリザに到着しました.
もう結構混んでるじゃん! (これはだいぶマシな方です)


てかどれがモナリザだよっ!?

・・・ん? これがそうなの?
ち,小さっ!!


その辺に飾ってあったらスルーするレベルだは!
こんな小さな絵のために世界中からここまでやってくるのか・・・
何という絵だ・・・


モナリザを見た感想

「こ,こいつ・・・ 死んでる!!」

どう見てもゾンビが微笑んでるようにしか見えませんでした.

ちなみに人が多い上に,防弾ガラスでガードされており,部屋の照明も非常に明るいので,ガラスが反射して絵自体がよく見えません.
ルーブルらしくない!
まあ人が密集する有名な絵,ということで,この辺りが妥協点だったのでしょうか.

しかし絵をよく見ると背景もちぐはぐだし,腕の組み方と言い髪の毛のはげ具合と言い,謎の多い絵ですね・・・ だから有名なんだろうか.
いずれにしてもゆっくり鑑賞できたので,やはり早く来て良かったです.


続いて見たのは,これも有名なサモトラケのニケ.所謂ナイキですね.



これの凄い所は,彫刻自体もさることながら,何より展示方法.
↓のように長い階段を上り,最後突き当たりに堂々と展示してあるのです.



これは美しい..!
開放的なスペースと階段が,見事にこのサモトラケのニケとマッチして,威厳ある雰囲気を演出しています.

京都にも背後の風景とセットで美しい,みたいな庭や寺がありますが,通ずる所があるのかもしれませんね.


さて朝一シリーズのラストを飾るのはこの人ですね
ミロのヴィーナス.


正面から見るとこんな感じ.


腕はなくなってしまっていますが,一体元々どんなポーズをしていたのでしょう.
盆踊りでもしていたんでしょうか.

しかしこれもまた美しいのは展示方法.
この部屋には大きな窓が1面だけついており,そこから指す太陽光によって像の凹凸がくっきりと浮き出るように見えるのです.


うーん! にくい演出だ! これがルーブルのセンスなのか・・・ すげーとしか言いようがありません.
紀元前に作られた作品だそうですが,当時の作者も後世でこれだけ美しく公の前で展示され,さぞ芸術家冥利に尽きることでしょう.


***


さて大物を見てしまったので,後は館内をまわっていきます.

イスラムコーナ




ルネサンス期イタリアが中心の絵画コーナ
モナリザもこの廊下中央の部屋にあります.


下の人はビートたけしでしょうか.


みんな大好きダヴィンチの絵たち.


モナリザの部屋を見てみましたが,凄い人でした.
朝行っておいてよかった..


ルーブルで最も大きい絵画とされるカナの婚礼.広角が売りのHX50Vでも写真に入りません.


これも大きなナポレオン1世の戴冠式?(邦題が分かりません)
大きさが伝わりますかね.


なんだこれは! 妙に引きつけられた絵でしたが,書かれている美しい裸体は両方とも男性のようでした.
結構明らかに女性だろ!て絵や彫刻にもよくチ○コついてるんですよね. つけなきゃいけない理由でもあったんでしょうか.


セウォル号事件を思い出させる,船沈没の絵.


宇宙人が襲来?している絵


しかしこの廊下だけでもスゲー長い.
イタリア絵画と,一部のフランス絵画だけでこれだけのボリュームがあるのです.
このほかに大量のフランス絵画や,他国の絵画.さらには彫刻やその他調度品など,多くの展示があるわけです.
どんだけのコレクションだよ! まともに全部見ると1ヶ月かかるそうですが,それはあながち嘘ではありませんでした.


窓からの眺め


美術を学んでいる人なのか,こうやって絵を写している人も多く見かけました.


ルーブル美術館の絵?かな?


誰もいませんでしたが,さりげなくラファエロの絵が飾ってあったりします.


パンデモニウム.今日見た中でもかなり引き込まれる,迫力ある絵でした.


もうどれが名画かよく分かりません.


スペイン画コーナ.久しぶりに人間が不在の絵を見ました.


続いて彫刻コーナを通ります.




野球をするオッサンにしか見えない.


エジプトコーナ.




み,ミイラじゃー!!


古代オリエントやメソポタミアのコーナですが,建物が全然マッチしていないw


有名らしい像.これは一体・・・w


建物自体が美しいルーブル美術館.




フランス画コーナ


なんかエロい絵の前でみんな集まってる..!
と思ったら,有名な「トルコ風呂」という絵でした.


おー! これが本物の「トルコ風呂」かー!
しかしデブばっか..!


おおっ! これは! ヴェネツィア! ヴェネーーツィア!!
また行きたいなぁ・・・


冬の北海道にしか見えない..
作者はモネ,と書いてありましたが,あの有名なモネなんでしょうか.
まあ北海道にも「もね」みたいな名前のおばあちゃん,何人かいそう.


人が集まってるなと思ったら,これも有名な絵で「いかさま師」でした.
これ誰が「いかさま師」なんでしょう? 全員?


1人の王女の一生を描く,という超大作.
部屋一面に飾ってあります.


教科書で見たことあるシリーズ





さてここからは,何と建物自体が展示品となっていきます.
ナポレオン3世の居室だったそうです.






美しい中庭




ハムラビ法典.いやはやこんな所に現存しているとは知らなんだ・・・




***


さて,ルーブル美術館があまりに広大すぎて,特に美術品に明るいわけでもない僕でも9時すぎ入場で,出たのが16時.なんと7時間も飲まず食わず歩きっぱなしで美術鑑賞していたことになります.
アンビリーバブル!
美術専門の人とかだったら,それこそ泊まりがけで来ないとならないですね..!

ルーブルのどの収蔵品よりも美しいセーヌ川を見ながら,ノートルダム大聖堂を目指します.





やっぱり川はいいね..
町並みの美しさでたとえローマにかなわなくても.パリにはセーヌがある..!
多くの旅人から,フランスは不親切だ!つまらない!パリなんてただの街だ! と聞いていましたが,僕は好きですよ.パリ.というかセーヌ.


カップルが付けると恋が成就する? 鍵の数々





ノートルダム大聖堂.






内部の様子





美しすぎるステンドグラスの数々






***


大変美しいノートルダム大聖堂の椅子に腰掛けながら,気づけば今までの旅を振り返っていました.

ここまで本当に色々な物を見て,様々なことを感じ,経験しながら来たんだなぁ,と改めて感じる事ができた反面,同様に多くの物を失ってきたのだという実感もあります.
例えばこの美しい大聖堂でさえ,心のどこかで過去見てきた物と比較し「ヴァチカンに比べれば小さくまとまってるかなぁ・・・」なんて思ってしまうのです.
もしかすると,この先どんな素晴らしい聖堂を見ても,全てサンピエトロ聖堂の劣化版に見えてしまうかも知れない..そんな恐怖を感じているのも事実です.
「旅は人生に似ている」というのであれば,これこそ僕の「旅」が成熟した大人になった証拠なのかも知れません.そして僕はこれから,全く新たな刺激を求めながら旅をしていかなければいけないのでしょう..
オトナになる事がこんなにも恐ろしい事だったとは・・・ 子供に戻りたい..

今日ルーブルで見た作品達も,そんな葛藤の中で生まれたのではないでしょうか.美しさは苦悩や模索によって産み出されるのではないかと以前のエントリで書きましたが,それらは「自由な表現が出来る子供に戻りたい」と言う物であったのかも知れません.
トルコのバスでトルコ人の男の子と出会ったとき,彼は言葉が通じないにもかかわらず僕とコミュニケーションを取ろうとしてきました.結果,少しは心を通い合わせることが出来たのでした.
観光地などに行くと,異なる国から来た子供達が一堂に会すような場面を見ることも少なくありません.そこには言語はおろか,黒人や白人といった区別もありません.彼らは言葉とも言えないような謎の声を発しながら,数秒後には全員が仲良しになっています.

世界が100人の子供の村だったら・・・
それは少なくとも今の世界よりマトモな物に違いありません.一体僕達はどこで何を失ってしまったのでしょう・・・ 子供に戻りたい..


ピカソは晩年「やっと子供の描く絵が描けた!」と言った,という逸話を聞いたことがあります.
何て美しい言葉なんでしょう..!

僕もピカソを目指そう!(ぉ


しかし僕の旅は,子供を目指すどころかあと数日で終わりを迎えます.言ってみれば予告された死を迎えるのです.
一体その先に何があるのか・・・ 今の僕には不安しかありません.
・・・気づけば僕はキリスト教徒でもないのに,神に救いを求めていました.

旅に出る前に「神の存在を信じる?」何て聞かれたら,「質量のある物体として存在はしないが,多くの人間が神に祈るという行為を行うことで,擬似的に作り上げられた虚像として存在する」とか理屈っぽい答えをするかも知れません.

でも今同じ質問をされたとしたら.僕は単に「信じます」と言うでしょう.
神の存在なしに,僕達は生きていけません.存在しないとならないのです.

その存在を科学的に証明するのも案外簡単では?と最近は思っています.例えば地球環境および全ての生物や物質を(DNA等含め)完全に再現およびシミュレーションできるスーパーコンピュータがあったとして,それが計算する1秒後の状態と,実際の1秒後の状態が異なる場合.そこに生まれた差分は「神の業」によってもたらされたと言わざるを得ません.
地球全体の再現は無理としても,条件を束縛した研究室で実験する分には,そう遠くない未来に可能な気がします.1秒後の未来を計算機が予測可能か? この問いに対し「No」にBETすることが「神を信じる」と言うことなのかも知れません.
仮に答えが「Yes」だったら・・・ 僕達は何に「救い」を求めればよいのでしょう?


1つの旅が終わる恐怖に対して.そして旅の中で失ってしまった物の数々について.僕は今,心から神を信じ,それらに対する救済を求めていました.


***


ノートルダム大聖堂を出た瞬間.

・・・救いが現れました.


おお神よ・・・ やはり貴方は我々を見捨てていなかったのですね..


野菜だ..野菜が見える・・・



久々の野菜に,思わず夢中でかぶりついたのでした.


しかし作るの下手だな・・・ 全くサンド出来てないんだがw


***


セーヌ川に沈む,あまりに美しい夕日.




旅で見る最後の夕日になるでしょう.お願い! そんなに急がないで・・・


エッフェル塔につく頃には,もう太陽は見えなくなっていました.
しかし最後の最後に.こんなに美しい夕暮れを見せてくれるとは・・・



ここでまさかの定点観測!







気づけばエッフェル塔も綺麗にライトアップされていました.


エッフェル塔の夜景シリーズ






なんか色変わった


夜のシャンゼリゼ通り



凱旋門





美しいパリを存分に堪能したところで,いよいよ明日は最終目的地ロンドンへ向けて旅立ちます.
ついに今回の「2015 ユーラシア横断旅行」も終わりを迎えようとしています.



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