2015年8月19日水曜日

決死の峠越え バブサ・パス

كريم آباد -> ناران
Naran <- Karimabad

2015.08.19




実は昨日の夜,ちょっとした(いやかなりの)トラブルがあったのでした.今日僕とNAさんはイスラマバードにバスで向かう予定だったので,3日前に今日のバスチケットをホテルのフロントで予約してもらっていたのでした.
しかし,昨日の夜宿に戻ってチケットを受け取ろうとすると,予約できてないというわけです.僕がイーグルスネストから帰って宿のオフィスに行くと既にNAさんがご立腹・・・というか呆れて疲れ果てた顔して座っていたのでした.

昨日の夜の時点では,もう既にカリマバード近くのバスターミナルから発車するイスラマバード行きは満席でバスチケットは入手できない,と言う状態.
無い物はもはや仕方ないのでその他の手段を聞くと,ギルギットまで行けばイスラマバード方面の交通手段は簡単に見つかる,とのこと.
僕もウルタルトレッキングの疲れもあり早く寝たかったので,そのプランでOKとしたのでした.

・・・というわけで今日は始発6時発の公共バスにのって宿からギルギットまで向かいます.

朝.日の出を宿のテラスから鑑賞.



お世話になったEMBASSY HOTEL.でもここでバスのチケットを予約してはいけません! 街中にはトラベルエージェンシーもあるのでそっちで相談した方が良いでしょう.


バスが来た.これに乗ってギルギットまで.


ついた
この時点で約8時半.カリマバードからギルギットまで2時間もかかった.



さて,ここからは自分で交通手段を見つけて行かなければいけません.そもそもギルギットからイスラマバードまでは2つのルートがあります.バブサパスという峠越えをするルートとカラコラムハイウェイを進むルートです.
バブサパスは峠越えはある物の直線的に進むので早く着きますが夏季限定.カラコラムハイウェイは山を迂回するように進むので,宿の人の話によると4時間余計にかかるんだとか.

これまで何人ものパキスタン人にバブサパスの景色の美しさや,道中のサイフルマルーク湖が綺麗と言う話を聞いていたこともあり,早く着くというメリットもあるので,バブサパスを行くという選択肢しかありませんでした.

もちろんNAさんも同様の考えだろうと思っていたら,なんとカラコラムハイウェイ沿いの断崖絶壁を見たいということで,結局ここからは別行動ということになったのでした.
うーむ,これは想定外.金銭面含め一段と先の道中が厳しくなりました..
まあ仕方ない.


ギルギットのバスターミナル(General Bus Stand)では例によってバスやタクシーの客引きが大勢いて,数秒おきに「イスラマバード!?」とか声を掛けられます.しかし彼らは大半がカラコラムハイウェイ沿いに進むバスであり,バブサパス経由はなかなか無いようでした.

イスラマバードまで一日で行くのは時間的に無理なので,今日はサイフルマルーク湖に最寄りのナランという村まで行くことに決めました.
色んな客引きに「ナラン?」と聞いてみますが,良い返事は帰って来ず.何人目かに声を掛けたところで,ようやく「こっち付いて来い」となりました.


ハイヤー会社に案内されました.この会社ではバブサパス経由でイスラマバードまで行く乗り合いハイヤーを運行しているようです.
お値段は4人1台で,1人4000Rs.ギルギットからイスラマバードのバスは2500Rsくらいと昨日聞いていたので,そこまで高くない値段でした.まあこれでも外人価格と言うことで割高に言われてる可能性はありますけどね.
ナランまでと考えると高い気がしますが,まあ仕方ない.このハイヤーに乗り途中のナランで降ろしてもらうよう話をまとめました.



例によって残り3人が集まるまで出発しないので待っていましたが,チャイやチャパティをごちそうになっている間に意外とすぐ集まりました.


今回お世話になるTOYOTAのカローラ.これで峠を越えるのか・・・ まあトヨタさんなら..!


例によって日本の中古車のようで,車内の表示や案内音声は全部日本語でした.でもパキスタンはなぜか左側通行なので大丈夫! これもイギリスの影響なんだろうか..


***


10時半頃.無事ギルギットを出発!
短い滞在でした.


しばらくはカラコラムハイウェイを進みます.




途中3つの谷が交差するという箇所で車を止めてくれました.
インダス川にギルギット川が合流する場所のようです.



運転手と記念撮影 とにかく彼らセルフィーが大好き.


その後もずっと川沿いに進んでいきます.



途中昼飯休憩.運転手の人がおごってくれました.優しい..!
・・・のか昼飯代も料金に含まれてるのか分かりませんがw
でも雰囲気的にポケットマネーで払ってくれたようでした.


さて昼食をとってすぐの場所で,バブサパス経由ナラン方面とカラコラムハイウェイ方面が分岐しました.


分岐点では検問があり,外国人である僕だけ降ろされ登録があります.パスポートを出しますが,パスポートのコピーをよこせ,と言ってきます.
さすがにそれは聞いてない! コピー欲しければ自分で取れよ!
すぐ手元に出せる場所にコピーがなかったので無いというと,運転手が話をしてくれて通行許可がおりました.

運転手の人曰く,ここから先は「危険」なエリアに該当するそうで,外国人の入出境が厳格に管理されているようです.
さらに,この分岐点から先のライコット橋までは警官が車に同乗しました.ただでさえ5人乗っていて窮屈なのにさらに1人増えて車内は超満員・・・
暑いし狭いしで散々な目に遭いました.


***


さてライコット橋を越え,いよいよバブサパスに入っていきます.



タイヤがパンクしちゃった.まあそういう事もあるよね.


山道を登っていく



・・・しばらく登っていると,エンジンがオーバヒートしてしまったようで,止ってしまった.うーむ・・・これは先が思いやられるな・・・
運転手が冷却水を注入して一生懸命冷やしているが・・・


容赦なく登り道は続いていきます.
途中何度もエンジンが止ってしまい,そのたびに冷ましてだましだまし進んでいきました.






後ろを見ると今まで登ってきた道のりを見下ろすことが出来ます.
景色は本当最高.エンジンさえ止らなければねぇ・・・



容赦ない上り坂が続く.



結局,エンジンがダメになっているカローラは一切坂道発進できなくなってしまいました.
仕方ないので,止ってしまったら乗客全員で車を手動で押しながらエンジンを始動させ,その勢いで平地まで走っていってもらう.乗客はその平地まで徒歩で向かい,全員揃ったところで出発.その後また上り坂の途中で力尽きて止ってしまったら,再度手動で押しながらエンジンを始動させ・・・ というループを繰り返して前に進むことになりました.

そんなわけで峠の終盤はほとんど車に乗れず歩きで登ることに.
見かねたデコトラの運ちゃんがトラックの前に僕らを乗せて運んでくれたりもしました.




登りも終盤.しかしすごいところ登ってきたんだなぁ..
・・・徒歩で.





ついにバブサパス頂上に到着!



後は楽勝・・・! と思っていたら,外国人がここから先のエリアに行くには再度検問をパスする必要があるとのこと.
前の検問から一本道だったのに・・・意味が分からん・・・.

しかも今度こそパスポートのコピーが無いとこの先に進めない等と言い出した.
さすがにここまで来て引き返すのはあり得ないので,荷物をひっくり返しようやくコピーを発見.ビザ申請用などに何枚か持っておいたのでした.よかったー..
しかも2枚も要求されました..そんなにコピー欲しければ自分らでコピーしろよ!
このルートを行く際には是非パスポートのコピーを何枚も持って行くことをオススメします.


今回は運転手が交渉してくれて警官の同行はありませんでした.助かった・・・
ここからは主に下り坂.ようやくカローラが車らしい働きをし始めてくれました.
下りも壮大な眺め.



登りの苦労に比べれば下りは本当あっという間でした.


途中ルルサー湖という大きな湖を通過




山間の集落で一休み.
同乗の乗客の人たちがチャイとチャパティをおごってくれました.
お腹すいていたので地味に嬉しい.



日没



***


「This is Naran.」

運転手が僕に話しかけてきました.山々の斜面に点々と集落らしき明かりが灯っているのが車窓から見えました.
あれがナランの村なのか..と思っていると突如商店で賑わう通りに入りました.ナランバザールというナランの中心部のようです.
カリマバードのような村を想像していた僕にとって,ナランは良くも悪くも期待以上に栄えた町なのでした.
バブサパスを越え道路はカガン谷という深く長い谷を進んでいくのですが,ナランはそのカガン谷の真ん中北寄りに位置しています.
こんなところに栄えた町があるとは・・・驚き.

しかしもっと驚いたのは,運転手は僕を交番の前で降ろし中へ入るよう促して来るのです.彼曰くナランに宿泊し滞在することを警察に届け出ないといけない.ナランから外へ1人で出てはいけない.必ず護衛を付けること.というのです.

何て面倒なんだ・・・
運転手は警察に僕を引き渡すまでが仕事だ,と言って僕と一緒に交番で担当の警官が来るまで待ってくれました.



やっぱりチャイが出てくる


担当の警官が出てきて,パスポートの情報を帳簿に写したり簡単な質問をした後,宿泊先を聞いてきます.
予約してある宿はあるのかと聞いてくるので,さすがに嘘をつくと面倒なので「無い」と答えると,「俺たちが手配するからそこに泊まれ」と言ってきます.

はぁ・・・やはりそうなりますか・・・
本当は安い宿に泊まりたかったし,あるいは可能ならサイフルマルーク湖まで行って湖の周辺にある小さなホテルかキャンプ場があるようなのでそこで泊まりたいと思っていたのでした.
簡単な寝袋も持っているので,夏だし最悪野宿でも良いと思っていました.

しかし残念ながらそうはいきませんでした.ナランの町でもセキュリティがこんなに厳しい物だと思っていなかった・・・
結局警察が手配した「ROYAL HOTEL」といういかにも高そうなホテルに泊まることになったのでした.


5000Rsくらいボッタくられるんだろうか・・・と少し覚悟していましたが,3000Rsだと言ってくるので普通にOKしました.
面倒なので明日朝サイフルマルーク湖へ向かうジープもここで予約しようと値段を聞いてみると,現地2時間滞在で往復1台2000Rsと言ってきたので,こちらも悪い値段ではなかったので即OKしました.
意外と良心的で助かった・・・ まあ警察からの紹介という手前あまり吹っかけられなかったのかな.
てかこういうのって大抵ホテル側と警察側はグルになって観光客からむしり取るんじゃ・・・ そういうのをしない辺りパキスタン人の人の良さや観光客に良い意味で慣れていない現状を表していますね.

荷物を置いてナラン街中の散策.
街を歩くのに護衛をエスコートさせるか? と聞かれたのでさすがにそれはNO!と答えました.

ナランバザールの様子.



バザール真ん中にある食堂で夕飯.



ここでは店の人や他の客が入れ替わり立ち替わり話しかけてきて,最後会計も240Rsのところ200Rsでいいよ!と負けてくれたのでした.
ありがとう!

こっちはただ旅をしているだけなのに,色々なところで様々な形でこうした歓待を受けます.パキスタンこそ「おもてなし」の国なのかも知れませんね!

あ,日本は「お・も・て・な・し()」の国なんでしたっけ!


カリマバードの宿に比べだいぶグレードアップ! 何より透明な水が蛇口から出る.これはすごい!




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