2015年9月22日火曜日

俺氏、アートに目覚める その1

Roma -> Pisa
Rome -> Pisa

2015.09.22




すでに3ヶ月以上.ブログというメディアを通じ僕は様々な出来事や感情を「表現」してきました.しかし一体「表現」とは何なんでしょう?
そしてそれに善し悪しがあるとして,良い表現とそうでない物の違いは一体何なんでしょう? このブログは果たして「良い」ブログなんでしょうか..

おお神よ・・・ 私は旅の終わりを目前に,新たな壁にぶち当たってしまったようです..

表現とは一体何なのか,世に言う「傑作」とは如何にして傑作なのか・・・
壮大な問いに対する答えを探す旅がここに始まったのでした..
( ´_ゝ`)


***


朝.混雑すると悪名高いヴァチカン美術館に入るべく,少し早起きして再びヴァチカンに向かったのでした.
美術館に到着すると,既に行列が.ダフ屋に聞いてみると1時間くらい並ぶんだとか.
まあダフ屋がそう言うなら45分くらいで入れるかな・・・と最後尾に並んだのでした.



ちなみに,ヴァチカン美術館は事前予約がインターネットから出来るのですが,予約すると日時が指定され,その時刻に来ると並ばずに入場できるという物らしいのです.この制度を上手く利用し,正規の値段より高い値段でダフ屋が予約済のチケットを行列の人たちに向かって販売しているのです.
大半がインド系のダフ屋ですが,行列に並んでいる人たち1人ずつに,長蛇の列に並びたいの?予約券買えばすぐ入れるよ!? と煽ってきます.
もちろんほとんどの人は買いませんが,たまにつられて買ってしまう人もいるようでした.


・・・1時間後.ようやく美術館の入り口に到達しました.ダフ屋の言うことが正しかった・・・
9時前頃並び始めましたが,美術館内部に入場できたのは10:20くらいでした.


螺旋状の入り口を進む



さて美術鑑賞と行きますよ-!


・・・ぉ.いきなりイタリア語で大量の建物名が書かれた案内看板出されても分からんよこっちは!
てっきり順路は1本道だと思っていたので,完全にどうすれば分からない状態..
仕方ないので,いつも通りみんなが行かない方角へ進み始めました.

中庭



絵画館と思われる場所に入っていました.





おー! これは分からんぞ!!
美術音痴の僕には到底理解できない絵画たちが大量に飾ってありました.


右中央のはキリストの変容ですかね,昨日サンピエトロ大聖堂で見た気もしますが,どっちが本物なんでしょう?

しかし僕のお気に入りはその横に飾ってあった↓の絵.


写真ではわかりにくいですが,下界の方にいる子供の憎たらしげな表情と,一番左の長身の男の「こいつが犯人です」と言ってるかのような何とも言えないバカげた表情と差している指.たまらなく好きですね.この絵.
ちなみにこれも同じくラファエロの「フォリーニョの聖母」という有名な絵だそうです..初めて見た..


絵画館を出ると今度は別の中庭へ.芝生や変な球体のオブジェが輝く,綺麗な庭です.





続いては彫刻コーナ.何というか美術室に置いてあるような石像の傑作がこれでもか!というくらいに廊下に大量に置かれています.贅沢すぎる・・・





ここに飾られている物は,大抵チ○コが葉っぱで隠されているのが印象的でした.僕らはダビデ像などを良く教科書で見ているからか,この手の石像はフルチンが基本! というイメージがあったんですけどね.時代によって違うんでしょうか.


石像群を抜け,エジプト館へ.正直ここは,古代ローマ風の彫刻作品やキリストが主題の絵画等が多いこの美術館内で,完全に浮いてました.人も凄く多くてよく見れませんでしたが,特別僕の心を引く物は見つかりませんでした.



さて,美術館2階に登っていきます.


ここからは,もう建物自体が美術!という勢いで本当に美しくなっていきます.













窓の外の景色もいちいち美しい.







***


さてなんと,ここまでは言ってみれば前菜で,いよいよメインディッシュに入っていきます.
いやもう前菜で十分お腹一杯ですが・・・ 高い入場料払ってるので張り切って見ていきましょう!
ここからは混雑区域で,順路が決まっています.

巨大なタペストリーが並ぶ



地図の間 地図好きの僕としてはたまらない場所でしたが,一部修復中でした..
1本の廊下でしたが,30分以上ここにいましたw






ここからは美しい壁画で囲まれた部屋たちを回っていきます.



ラファエロの間.4つの部屋からなっています.
この辺りはもう教科書で見たことあるシリーズですね.






そんなわけで,もう壁画も絵画もお腹一杯だよ..! てなったところで,ついにシスティーナ礼拝堂に進みます.
ミケランジェロの創世記や最後の審判が見れる聖堂です.


聖堂内部へ入ります.内部は撮影禁止とのことなので,イメージのみです.

(画像はイメージです)

(画像はイメージです)

(画像はイメージです)

これはすごい・・・ 何が凄いって規模がすごい..
巨大な聖堂に見渡す限りに絵!絵!絵!!
本当に圧巻でした..

アダムの創造.ETが指を突き出すシーンのモデルになったヤツだそうです.

(画像はイメージです)

システィーナ礼拝堂は神聖な場所なので,2つルールがありました.写真撮影禁止とおしゃべり禁止.
もちろん両方とも誰も守っておらず,みんなこっそり写真撮るし,ひそひそとしゃべっています.1分おきくらいにスピーカから係員が「NO PHOTO~」「silence..! shhhh..!!」とアナウンスして絵画鑑賞の邪魔をするというシュールな光景を見ることが出来ます.
まあその辺が落としどころ,てことなのかな.


出口の二重螺旋階段






***


2日間のヴァチカン散策もこれで終了です.想像を絶する美しさにただただ息をのむばかりでした.
この旅の中で最も美しい物を見たのでは,と思うほどでした.

・・・本当かな?

例えばイラン.マシュハドやエスファハーンで見た巨大なモスクは心から美しいと思える物でした.果たしてサンピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂はこれらのモスクの美しさを超えることが出来ているのでしょうか・・・
もちろんこれらを比較すること自体おかしな事ですが,敢えてそれを行うとするならば.答えはNOかも知れません.

僕の目から見て,丁度この2つは対照的に映ったのでした.ローマで見た聖堂は大量の壁画や石像で埋め尽くされ,豪華絢爛に美しさを作り出していたのでした.それらの多くはキリストや聖母マリア,あるいは天使達が主題となったもので,直接的に人物を描いていたのでした.
しかしながら,イスラムでは偶像が禁止されているため,人の形をした絵や像を作製することができません.そこで彼らは絵でも彫刻でもない,「模様」という手段によって美しさを作り出すことに成功したわけです.

そうした制約の中だからこそ,シンプルな模様のみで構成されているにもかかわらず,人の心をあれだけ動かせる物を生み出せたのではないか・・・ そこにこそ美しさがあるのではないか・・・
そんなことを考えるようになったのでした.

「表現」とは何か,1つの答えとして,それは苦悩であり,模索であり,足掻きなのではないでしょうか..
僕はこのブログの想定読者として,将来の自分を第一に考えています.つまり未来の僕自身に対し,今起きた事柄や考えたこと.感じたことやそのときの喜怒哀楽.そうした物達を忘れないように,すぐに思い出せるように,書き残しておくつもりでブログをつけてきたと思っています.
しかし思ったことや感じたことを文字にするのは想像以上に難しく,結局写真をたくさん張って終わり,という形になってしまうことも多々あるのでした.本当は伝えたい,胸が張り裂けんばかりの感情の変化や,全身の毛が逆立つような興奮を,未来の自分が参照できるように保存しておきたい.でもそれが如何に難しいことなのか.こと文字列で表現するのがどれほど大変なことなのか.実際にブログをつけてみて本当によく分かったのでした.

巨匠と呼ばれる過去の表現者達も,そうした苦悩の果てに絵画や彫刻と言った手法に活路を見いだし,傑作と呼ばれる作品を残していったのではないか・・・
そしてその苦悩が大きければ大きいほど,そこに「美しさ」があるのではないか・・・ そんな気がするのです..!


OHー!! ジーザス! ジーザス!クライスト!!

僕は答えにたどり着いたのでしょうか!? 教えてください!!


・・・その時僕は神の声を聞きました.


神「フィレンツェに行きなさい」


おお! 天にまします我らが父よ..! 仰せのままに!!!


***


僕はローマからピサに向かう列車に乗っていました.ピサはフィレンツェから列車で1時間ほどの街.あの有名な「ピサの斜塔」を見てやってからフィレンツェに向かおうという魂胆です.

しかし高速鉄道は高く例によって高かったので券売機でしばし悩んでいると,鈍行列車を発見.
どうやらローマからピサまで鈍行で行けるようで,それだと特急の半額くらいで行けるのでした.

鈍行列車の旅が好きな僕としては正に一石二鳥!! 迷わず鈍行列車を選んだのでした.


ピサに向かう列車





発車


ローマ近郊はかなり混雑していましたが,一時間も乗っているとほとんどの乗客が降りガラガラに.途中駅で乗ってくる人も数駅で降りる人が大半だったのでした.短距離輸送がメインの線だったのか・・・
観光客は高速鉄道にみんな乗るのか,ほとんどいませんでした.

ローマからピサまで4時間くらいでつくんですけどね.
長いこと旅してきた感覚からすると「4時間?早っ!」てなるんですけどね.一般人にはそうではないんだろうか・・・ 正直今の感覚だと1.5時間も4時間もあまり変わらないんですよね.だいぶ時間感覚が麻痺してるな・・・

でもよく考えると,日本で色々な場所で鈍行列車乗ってきましたが,通しで4時間てのはあまり無かったかも知れないな・・・ まあ,あるとすれば18切符の時期に東京→関西方面行くときや,東京→日本海方面行くときは長時間乗ったくらいですかね.でもあれ何度も乗り換えてるし,通しで,という感覚ではないのでした.
飯田線や宗谷本線も全線乗ったことあるけど途中何駅も降りてるしなぁ..日高本線は終点まで乗ったことあるけど4時間もかからなかった気がする..他に長距離鈍行列車ありましたっけ?
日本ってせまいですね.


全く期待していませんでしたが,あろう事か海沿いを走る列車でした.
素晴らしすぎる・・・




途中いくつも田舎街の駅に停まります.




何もない野原を越える



日没



ああ・・・ 何て美しい..
窓からの景色や,車内の雰囲気,混雑具合も日本の鈍行列車にそっくり.
久々に懐かしい気分に浸ることが出来ました.

やっぱりバスにはない,鉄道ならではの旅の魅力がありますよね.
例えば車窓.高速道路のような栄えた場所ではなくて,線路があればどこでも走れるので畑の真ん中や山の中を平然と通ったりするんですよね.
あとは駅も魅力の1つ.バスにも各駅停車みたいのあるけど,停まるのって結局高速道路の脇とかバス停ですものね.あのプラットフォームと駅舎,ていうのが雰囲気があって良いですよね.田舎町の駅でも,町の威厳を示すかのように立派な駅舎が建っている所も.そんな駅達を1つずつ停まっていくのも旅してる感あって好きですね.
あとはこの音かなぁ.バスみたいなブォーって下品な音じゃなくて,カタンコトンてリズム良く進む感じ.最高ですね.


いやぁ何でみんな鈍行列車で行かないんだろう? 不思議でたまりません.こんな素晴らしい旅他にないのに.
まあ混雑して欲しくないのでかまいませんけどね.

中国鉄道みたいになったら最悪.人だらけの動く動物園ですねあれは.やっぱりこのくらい空いてる列車でのんびり行くのが大好きです.


***


ピサセントラルが終点の列車でしたが,乗り換えて隣のピサ・サンロッソーレ駅まで向かいました.
こっちがピサの斜塔最寄り駅なのです(セントラルからも歩けます.が夜だしね..)

ついた



何この暗さ・・・ 田舎かよっ!


実際,超有名観光地最寄りとは思えないほど,普通に小さな駅でした.新潟県あたりにこのレベルの駅たくさんありそう.


駅を出ると本当に真っ暗で人が誰もいない.ポツポツとある街灯を頼りに斜塔近くのホステルに向かいます.
正直すげー怖い・・・ ここがあの世界に名だたる「ピサ」なのか・・・



ついた


ん? 遠くに変な塔が見えますね.


ん? これがピサの斜塔!? しょぼっ! 笑


近づいてみると意外に傾いているのが分かります.


建ててるうちから傾いているのに気づいたようで,上の方は水平になるよう頑張った跡が見えます.


というわけで,明日はピサ&フィレンツェ編です.


***


おまけ

この国ではトイレでゲロ吐いちゃいけないようです.




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