2015年8月16日日曜日

フンザ 魅惑のカリマバード

2015.08.16




今日は曇り.ということで天気も悪いしゆっくりすることに.


朝9時頃.みんなで朝食.NAさんが買ってくれた蜂蜜でチャパティを頂きます.もちろんチャイもね.



午前中は小雨がパラつくような天気だったので,ブログの更新などで時間をつぶす.
日本という国には,スタバとかでラップトップ広げて「ノマド」とか格好付けて名乗って気取っちゃってる人たちいるじゃない.でもね,もし自分は優雅でイケてるノマドだなーって思ってる人いたらこの写真見せつけてやりたいね.
本当に優雅でイケてる,てのが何なのか教えてやりたいね.


眼下に広がる雄大なフンザ谷の景色をみながらのPC作業! これは気持ちいい!
頼めばチャイも来るよ!


***


中国人グループと昼飯.彼らの過去の旅行や今回の計画について色々話をしましたが,一番面白かったのが彼らのビザ.中国人はパキスタン旅行ビザが取れないそうで,なんと彼らは「ビジネスビザ」でパキスタンに入国していました.しかも俺ら日本人はパキスタン旅行ビザ取得費用はたった100円(タイポじゃないよ)なのですが,彼らは日本円換算1万円以上かけてビジネスビザを取得しここまで来てるのでした.
中パ友好,とはそんなもんだったんですかね!
というか彼らの話を聞くと中国政府的には中国人にパキスタンに旅行して欲しくないそうだ.危険,というのが理由らしいのですが・・・

確かにパキスタンも国境付近など一部地域は大変危険で,ニュースにもならない程たくさんテロが頻発しているとパキスタン人からは聞いています.しかしそれ以外の地域では,特にこのフンザ谷などは大変平和でのどかな場所です.パキスタン人観光客も多く来るような場所です.
一方で中国人観光客がパキスタンで何人もタリバンに殺害されている,と言う話も新疆にいた頃から何度か聞いていました.
これがずっと違和感だったのです.彼らは単に運が悪いだけなのか,はたまた危険な場所に行くのが好きなのか・・・?

でも答えは意外と簡単な気がしました.昼飯で中国人グループと話していて気づいたのは,圧倒的に情報量が僕らと違うのです.
僕らは,ロンプラはもちろんインターネット上から様々な旅行ブログや最新の体験談を英語で情報として入手しています.またもちろんパキスタン人から(英語で)話を聞くことも出来ます.
彼らは英語がほとんど出来ないので,実はそれが出来ないのでした.ただでさえGoogle先生を始め多くのサイトにアクセス出来ない状態で,さらに英語も出来ないため,中国人が書いた情報しかほぼ無いのです.
無数にいる欧米バックパッカーに比べれば,海外貧乏旅行する中国人てまだまだ少数派.結果情報量に差が出てしまっていたのです.

もちろん原因はそれだけでは無いだろうけど,そんな情報格差をしみじみと感じてしまいました.
彼らはパキスタンからイランに陸路で越え,最終的にはエジプトを目指すそうです.僕には心から「Good Luck」と言ってあげることしか出来ません.
彼らとは微信のアカウントも交換したので,少しずつ連絡取り合ってみたいと思います.

昼飯で頼んだGreen tea.


これは断じて緑茶ではない.絶対無い.何か別の「グリーン」なティーだ.
中国人グループもだいぶご不満な様子.そりゃそうだわな.


***


昼飯が終わり,1人で周囲を散歩してみることに.

フンザ谷は谷底にフンザ川が東西に流れ,その南北両側の斜面に段々畑と村が連なる,というスタイルになっています.
僕たちがいるのは,ガニシュやカリマバードといった村がある北側の斜面で,向かいの南側はナガルという村になります.
大昔はこのガニシュとナガルは別々の王国として存在していたようで,その名残が今でも残っています.
例えば,フンザにはウルドゥー語や英語とは別に独自の言葉があるのですが,ガニシュとナガルでは別の言葉が使われているそうです.また,宗教でいえばどちらもイスラム教ですが,ガニシュ側はイスマイリ派でナガル側はシーア派です.
(人々から聞いた話を総合してみました,間違ってたらすみません)

というわけで,対岸のナガルまで,無理ならフンザ川まで行ってみようと思ってました.





・・・しかしパキスタン人の「こっち来て! 話をしよう」「写真撮って!」「セルフィー! プリーズ!」という猛攻撃に遭い,なかなか先に足が進まない.
彼らは本当にセルフィー大好き.中国人以上に大好き.
自撮り棒メーカさん,ここに需要ありますよ-!

子供達も簡単な英語はみんな話せるのですが,中でもTake me one photo! と言うのが彼らのお気に入りのようで,何度も写真を撮るよう迫られました.
別に彼らのカメラでなく僕の持ってるカメラで撮れ,ということなので,写真が欲しいわけでもなく単に映りたいだけのようでした.



しばらく歩いていると,農場で農作業しているお姉さんと子供達に声を掛けられました.ひとしきり話していると Come Here!と言ってくるので,畑に入ってみました.



畑といっても家庭菜園に毛の生えた広さですが,彼女たちの自給自足のためにはこれで十分なのかも.今はちょうどジャガイモの収穫時期のようで,家族総出で収穫作業をしています.お姉さんと子供達,彼女のいとこや両親など10人以上畑にいました.もっとも子供達は遊んでるだけですが 笑

最後に収穫したてのイモをくれました.ありがとう! まあどうやって食うのか謎ですが・・・



***


川に向かう道中で,縁側に座っているおじいちゃんと少し話したのですが,彼曰くここから川の方へ下っていく途中にある「Old Histrical Site」なるものがオススメとのことなので行ってみることに.

あった



うーん・・・ ただの教会のようだ.
一応UNESCOとは書いてあったが・・・ まあそんなものか.

Old Histrical Siteを離れ川を目指していると,またもや子供達が話しかけてきます.今度の子はキャラメルを僕にくれました.
何処に行くの? と聞いてくるので,川が見たいと答えると,こっちだ!付いてこい! と先導します.
他の子供達も加わり5人ほどに導かれ,再度「Old Histrical Site」の方へ向かう事に.

すると,彼らは僕がさっき見た教会の脇にあるプールを横切り,観光客はおよそ入ることがないだろう勝手口のようなところへ僕を案内しました.
中に入って見てビックリ,実はこの中が本当の「Old Histrical Site」だったのでした.


勝手口には閂があり,敵が攻めてこないようにあるんだと子供達は言います.1000年ほど前ガニシュとナガルの王国は戦争をしていたそうで,この「Old Histrical Site」はその当時の要塞都市の名残なんだとか.


子供達は頼んでもないのにガイドを続けます.川に行きたかったんだけど・・・まあこっちの方が面白いし良いか.
この黒とオレンジの服を着た子がリーダ格で,英語で各建物の説明をしてくれました.


家やモスクの跡




家畜を育てていた小屋


迷路のような要塞都市を抜ける


見張り塔


見張り塔の中は真っ暗でしたが,中入って!登って! と促されます.



敵が攻めてきた際に発砲するための穴.いわゆる銃眼.


ヤグラの屋上へ.


屋上からは,巡ってきたOld Histrical Siteの全景や,フンザ谷を下から見上げる素晴らしい風景を見ることが出来ました.
こんな場所があったとは・・・
彼らに付いてきて本当に良かった.




入り口の前にあったプール.彼ら曰く,有事の際に川を泳いでわたれるよう男達はこのプールで毎日訓練していたのだとか.


フンザ谷の景色




子供達と


さて,彼らもガイドしたいこと全て話し尽くしたと言う感じで,そろそろ帰ろうかという雰囲気になると,黒とオレンジの服の子が申し訳なさそうに

「入場料150Rsでガイド50Rsなんだ」

と言ってきます.

・・・金取るのかよ! 笑
これは一杯食わされた!!

まあ200Rsといえば5人でオヤツ食べればすぐ無くなる金額だし,彼らは間違いなくそれ以上の価値を提供してくれました.
一生懸命説明してくれたのは本当だし,何より1000Rs!とか吹っかけてくるわけではなく,申し訳なさそうに200だけ要求してくる彼らを見て,思わず気持ちよく200Rs払ってしまいました.
彼らは本当に嬉しそうにそれを受け取って,You're our friend! と握手してきました.何て可愛い子供達なんでしょう!
出口まで全員で案内してくれ,見送ってくれました.

しかし小学校高学年~中学生くらいの子供達でしたが,自分たちでチームを組織して外国人相手にビジネスをしてる,てほんとタフですね.. 感心してしまいました.
まあやってることはかなりキワドイですけどね.

カリマバードで時間があったら是非彼らにダマされてあげてください.
いつ「営業」してるかよく分からんけど 笑


***


さてもう日も落ちてきたので宿に戻ります



先ほどのOld Histrical Siteを上から眺める



宿に帰ると,新たな日本人夫婦(以下K夫妻)が到着しており,NAさんと4人で夕飯を食べることに.
NAさんは宿の主人に「フンザウォータ」をお願いしてくれていたようで,夕飯時に飲むことが出来ました.


名前はウォータですが,実際には家庭で作るどぶろくのようなお酒です.パキスタンではお酒が流通しないのでこういうのが発達するんですね.
見た目どう見てもスプライトなのでがぶ飲みしそうですが,したら死にます 笑

味はちょっとフルーティですが後味はきつく,無駄に濃い焼酎といった感じ.
ウォータだからといってご機嫌で飲んでると次の日二日酔いで潰すことになります.注意!



今日の夕飯.



農園でもらったジャガイモも調理してもらいました.しかしこう見ると全部カレーぽい料理ですねw

しかし彼ら曰く,同じように見えるこうした料理でも地域によって大幅に味が違い,それらはスパイスの違いから来る物なんだとか.
もしかすると僕らはそうした違いに鈍感なのかも知れませんが,食べ慣れてる彼らはそんなスパイスの違いを楽しむことが出来るようです.
話したラホールの人は,ラホールとフンザではだいぶ味が違うと言っていました.


***


夜はパキスタン人を交えずっと話をしてました.初めはお互いの旅行話などが中心でしたが,日本人軍団のパキスタンに対する飽くなき興味から,途中から質疑応答タイムのようになってました 笑

色々な話をしましたが,面白かったのは彼らと中国の関係.彼は一度も中国のことをlikeと言いませんでしたが,9割のパキスタン人は中国をagreeしていると言っていました.
経済的にも軍事的にも港が欲しい中国は,今パキスタン南岸のカラチ付近にある「Gwador」と言う町を1つの拠点にしようと計画しているそうです.中東・アフリカに至近の好立地ですが,スエズ運河を越え中国との貿易が盛んな欧州にも海路を延ばすことが出来ます.
香港からはマレーやインドを回る必要があり遠く,北の港は冬凍るので使えず,という現状を考えるとGwadorを押さえることで欧州交易がさらに発展するでしょう.今行っているカラコラムハイウェイの舗装改修もその一環だとか.
パキスタンは中華人民共和国を国家として承認した最初の国だそうで,そうした歴史的背景からも中国とは悪くない関係を戦略的に保っている,という話をしていました.

もう1つ面白かったのはやっぱりイスラムの話.僕が一番気になっていたのは彼らがアラビア語をどの程度使えるのか,という点でしたが,彼曰く「アラビア語を音読は出来るけど意味は全く分からない」との事でした.
僕らには見分けが付きませんが,ウルドゥー語とアラビア語は全く別物だそうで普通のパキスタン人はアラビア語が全く出来ないそうです.しかし文字を音読することだけは出来て,多くの非アラビア語圏ムスリムは同じなんだとか.
僕らが中国語を読むのと逆ですね.意味は何となく分かるけど音読は出来ない.
学校でアラビア語の授業があるそうで,みんな方言や訛り無く綺麗にコーランを音読出来るそうです.
僕らが余りに興味津々で聞いているので,彼はコーランのiPhoneアプリを見せてくれました.1行ずつアラビア語と英語が併記で表示されるようになっていて,音はアラビア語表記を見て,意味は英語を見て理解しているそうです.
音声を再生することも出来,聞いてみるとまるで歌を歌っているかのような音声が流れてきます.コーランを全部暗記しているも多いと言っていました.


・・・というわけでフンザウォータで良い感じになりながら知的?な会話を楽しみ,いつの間にか部屋に帰って寝てました.

文章量でごまかしてますが今日は何もしてませんね結局w


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