2015.07.16
朝起きるとシェンツェン出身のDIさんがオハヨーと日本語で挨拶してきた.基本超良いやつなんだこいつは.
今日も特に予定は無かったのですが,何となく行きたい所として香港仔とマカオがあったので,何となく今日は香港仔行こうかなー,と考えていました.
DIさんと今日の予定について片言英語で話してると,彼は香港島の南岸にある浅水湾に行きたいと言っています.観光案内などには一切出てこないような場所でしたが,どうやら彼曰く"ビーチ"らしい.泳ぐの?と聞いたら,ただ見るだけだとのこと.
一緒に行こうよ,と言ってきてくれたので,まあ見るだけなら・・・と思いOKしたのでした.
DIさんに香港仔(アバディン)って知ってる?と聞いても知らなかったので,香港仔行くより"ビーチ"見物した方がよっぽど楽しそうと思ったわけです.
同室のアメリカ人TIさんも行くことになったのですが,彼は昼過ぎまで予定があったため14時に湾仔で合流することになりました.
それまで時間がありお腹も空いていたので,DIさんと2人で朝飯兼昼飯を食べに行くことに.
宿の近くにあった少し小洒落た点心の店に入ります.
いきなり写真も値段も(当然英訳も)書いてないメニューを渡されました..1人だったら絶対マトモに注文できて無いや.
DIさんがいて良かった・・・ と思ったら彼もメニューとにらめっこしながら悩んでいます.どうやら中国人(しかも広東人)でも分らないようです.
「有名なメニューは分るけど,それ以外はどんな物が出てくるか具体的には想像できない」そうです.それじゃ俺と大して変わらんじゃん!
結局DIさんが悩みながらも大体選んでくれて,俺も2~3品テキトーに直感で選びました.
その品々がこちら
実際には,上の写真以外にお粥と肉まんが来ています.
なんてすばらしいんだ! まず色合いが美しい.そしてどれも超美味そう..
何だかんだ言ってさすが現地人はやっぱりよく分かってるんですね..すばらしいバランスでした.どれも全部美味くて,辛い鶏肉から甘いケーキのような物まで幅広く味わえました.
これが点心かー! 俺だったら無難そうな肉まんばっか大量注文してたわw
ちなみにこれら8品で109HKD.安い! ひとり55HKD弱ですが,DIさんは50HKDでいいよ,とそれ以上受け取ってくれませんでした.僕はケチなのでそういうところきっちりやってしまう方ですが,基本みんな外国人に気を遣ってくれるのか,端数分安くしたりしてくれます.そういう細かな心配りが何だか嬉しい.東京での長い生活でスサんだ心が洗われていくような気がしました.
DIさんはシェンツェンの出身ですが,大学はガンヅォ(広州)に通っており,建築工学が専門と言っていました.ホンコンのビル群の多くは40年近く前に一斉に建てられて今の街並みを作っている,なんて話を教えてくれたりしました.
建築工学は計算が多くて数学が大変だよ~と笑っていましたが,マジメで熱心に勉強するタイプの人間だと強く感じました.目があまり良くないようでいつも眼鏡を持ち歩いており,ひとたびそれをかけると一気に「学生」の顔つきに変わったように見えるのでした.
中国ならではの巨大団地そのもの,といった広州の学生寮の写真を見せてくれました.彼の部屋は6人の共同部屋らしい.苦労が多いんですね・・・
ただそれでもDI家が裕福でない,と言うわけでもなさそうでした.彼の実家はファーチャンペイ(華強北)から歩いて五分くらいの場所にあり,おじさんはレクサスに乗っていると言っていました.比較的裕福なはずですね!
しかもシェンツェンはここ数年爆発的に成長しており,特に今年度はものすごい発展で,地価が5割くらい上がったそうです.バブルじゃん!
DIさんが食事中ケータイを熱心にチェックしていたので,何しているのかと思ったら,何と株価のチェックをしていたのでした.株に興味がある?と聞かれたので,無くはないけど買う金はないなー,と応えると,Me too.と言います.
元米大統領のパパケネディは,靴磨きの少年が株売買に興味を持っているのを見て株価大暴落を予感した,という逸話がありますが,中国のバブル崩壊もそう遠い未来ではないかも知れないですね.
少なくとも,経済学部でもない一介の大学生が毎日株価チェックしてるなんて確かに正常じゃない.彼らはFacebook見て芸能ニュースみてウヒェーとか奇声を上げてるのがある意味正常な気がします.(ん?日本だけ!?)
運転免許持ってる?と聞かれたので,Yes,と応えるといいなー,とボヤきます.僕が車欲しい?と聞くと,欲しいけど10年くらい金貯めなきゃ-! と言っていました.
そんなに!? と思いましたが,どうやら話を聞くと車本体以外にも出費が多いそうです.まず免許を取るために6つの試験をパスしないとならないらしく,それだけで費用が1万元(20万円)以上かかるんだとか.さらに,ナンバープレートを取得するのに3万元(60万円)かかるとも言ってました.しかも現在当局が車の数を減らそうと躍起になっているらしく,たとえ金を持っていても免許を取ってナンバープレートを取得して晴れて車を購入できるまで数年単位でかかると嘆いていました.
中国の物価でその値段は高いし,絶対数を規制されるというチャイナらしいシステムで車買えないとかビビりますね.でも街中のあのひどい渋滞を見ているのでまあ分らなくもないのですが..
***
お昼ご飯を終え,宿で少し休んだあと,TIさんと合流予定の湾仔にむけて出発しました.地下鉄でも行けるのですが,バスのが楽だし安いということで宿の前のバス停からバスに乗ることになったのでした.相変わらず2階建てのバスはデカイね.
今までバスは降り逃すと大変なので1階にしか乗ったことありませんでしたが,DIさんは迷い無く2階に向かい,一番前の座席に座りました.全く考えてなかったことですが,なんと2階の最前列は前面展望になっているのでした.
すげー!! 昔のロマンスカーみたい.
窓からホンコンの巨大な景色を楽しみながら進みます.
湾仔はビクトリアハーバの対岸なので,海底トンネルを渡ります.
何気なくDIさんに旅行は好き? と聞いてみると大好きだ,と答えました.今まで何処行ったことあるか聞いてみると,中国内のいくつかとホンコン・マカオを挙げ,「海外にはまだ行ったこと無いんだ..」と言います.まあ学生だしお金もかかるしなぁ..と思っていると寂しそうに「中国のパスポートはとても弱い..ビザが取れないんだ..」とつぶやきます.
日本人は中国に来るとき簡単にビザ取れるのか?と聞いてくるので,2週間までならビザはいらない,と答えるとうらやましそうな顔をしてました.「日本に行きたいんだー」と言うので是非来てよ! 案内するよ! と言うと「ビザが取れればね-..」と窓から遠くを見つめ寂しそうに嘆いていました.
てっきり僕は日本→中国がビザ無しで旅行可なので,逆も同様の基準だろうと考えていたのでした.しかし彼曰く取得までに長期間かかる上に,収入証明なども必要になるらしい.意味不明!所持金0人民元で中国に入国した僕には考えられない話ですね..
本当かな..と思って調べてみて愕然としました.彼らが日本旅行をするには↓のような盛大面倒なビザ取得を行わなければならないようです.
在中国日本国大使館(2015.7.17 最終アクセス)
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/visa_dantai_j.htm
日本人がここまで面倒なビザ取得が必要なのは,チベットとか北朝鮮やブータンなど限られたエリアに行く場合だけなはず.ミャンマーでさえ今や数日でビザが発行され適当に入国してかなりの部分を旅行出来るようになっていました.旅行会社利用の強制や添乗員強制なんて,僕達からすると「ふざけるな!後進国かよ!!」と激怒するシステムなのですが,正に日本はそんなことを他国に強制していたのでした.後進国かよ!
中国共産党が日本人の入国を制限するためにこんな事やってる,と言うのなら分かりますが,悲しいかな何度見てもその逆なのでした.
もちろん不法就労や観光客大量来日など問題を挙げるのは簡単ですが,今更そんなこと言ってるなら江戸時代に戻って鎖国すれば?て思いますけどね.彼の寂しげな遠くを見つめる目を見て貴方はそんなこと言えますか?少なくとも僕には言えないね!
問題は発生しないようフタする物ではなく,解決すべき物なのでは?とエンジニアとしては思いますがね.
DIさんはさらに遠くを見つめて,ほとんど夢物語を話すかのように「イングランド行ってみたいなぁー」とぼやきました.「ヨーロッパはビザ取得もっと大変なんだよなぁ..」
とても僕は英国を目指して旅をしてるなんて言えませんでした.もーほんとにイギリス嫌い.
少なくとも今乗っているバスも道路を左側通行で走っている.中国は右側通行なのに..
じゃあどこがビザ取れるの?と逆に聞くとタイだ,といいます.タイには近いうちに行きたいと思っている,と言ってました.さすが僕らのタイランド! 基本ゆるい.
中国の都市からすればバンコクとか超ド田舎だけどね..
***
集合場所である湾仔駅改札前のATMに集合時間の14時ちょうどにつきましたが,当然TIさんはいません.DIさんは集合時間に集合するのが当たり前だと思っているらしく,不安そうに探していました.
僕が「アメリカ人はそんなpunctualじゃない,14時半頃来るんじゃね?」とか超失礼なことを言っていると,程なくしてTIさん登場.奇跡! てか改札前ATMと言っていたが実は2カ所に分かれて配置されておりもう一方の方で待っていたんだとか.
駅から地上に登り,バス停に向かいます.TIさんは乗り物に超詳しく,2階建てバスはイギリスの会社が世界シェアのほとんどを持っているだとか,あのトラックのランプはどの車種から流用した物だ,とかマニアックな話を教えてくれました.飛行機のパイロットなので,離着陸の難しい空港の話などを聞かせてくれてとても楽しかった.昔のホンコンの空港は着陸が難しいことで有名でしたが,彼の感覚からしてもやはり「アレは頭おかしい」ということでした.基本そんな知的な感じですが,路面電車を見て「3相交流モータで走ってる!!」とかはしゃいだりする楽しい人です.
「6X」という番号のバスに乗り込み,浅水湾へ向かいます.
住宅地を抜け,山をトンネルで突き抜けます.
香港島の南側へ到着.
浅水湾.僕らの予想を大きく裏切り,そこはホンコンの街からは想像できないような小綺麗なビーチリゾートでした.
こんな美しいビーチとは予想だにしていなかったので,僕らは当然水着も持って来ていないし,タオルすらありません.
しかし気温35度.目の前には砂浜.貴方はこの状況で海に入らない,という選択が出来ますか?
・・・私たちには出来ませんでした.
数分後3人の男達はTシャツを脱ぎ捨て,財布や携帯電話まで全て浜辺に放り出して,普通にパンツと半ズボンをはいたまま海へ入っていました.
ひと泳ぎした後,みんな砂の中に体を埋めようとし始める.万国共通なんだねこれ.
あ,TIさんが砂でチ○コの形したオブジェ作ってる! 彼は芸術学校に通ってたこともあるらしい.多才だ..
おかげで中国人のDIさんはTin-tinという新たな日本語を覚えました.
TIさんはコンテナ船が通るたびに「カッケー!!」と絶叫し,フォークランド紛争で英軍がタンカーを改造して空母として使った話などを熱く語ってくれました.
しっかし意識してみると本当にタンカー良く通る.どんだけ運ぶ物あんだよ! でもアレ相当儲かるんだとか.乗組員は15人とか少ないのに,十億円単位で売り上げがあるらしい.まあ燃料だけで数億円かかるらしいけど.
***
楽しい海水浴もあっという間に終了し,宿に戻ることに.真水のシャワーがあったのでざっと流した後,3人で海を見つめながら体を乾かしました.
最後はDIさんの自撮り棒(さすが深圳ボーイ!)で記念撮影して終了.
びしょ濡れのズボンのままバスに乗り込み宿に戻ったのでした.うーん..下半身が気持ち悪い..
きょうのばんごはん
3人で近くの安い食堂に行きました.この粉麺まさかの30HKD.安っ!
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